白冬ノ章 第3話


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 ついたキャンバスの穴を埋めるように、空から白が舞い降りる。

 緑白の光に誘われたのは、世界を修正する白ではなく、世界を修復する無垢なる白…おだんごうおだ。

「止まった…のか?」

 そしてそれに呼応するように、プラチナが世界に放った白翼の軍勢も動きを止める。

 プラチナはゆっくりと辺りを見渡す。

 かつて見た、白とともにある緑の光…

 そして今、その周りには、黄、青、黒…たくさんの色が輝いている。

「誰かのための色ではなく、誰かとともにある色、か…」

 プラチナはゆっくりと起き上がる。

「?!」

 一同はにわかに警戒する。

 しかし、不要だ、というように、プラチナは片手を上げて彼らを制する。

「成程。リリィの言った、この世界にある色々な可能性…その存在については認めよう」

「……」

「だから、今一度委ねることにする。アイビィ…リリィの色を、意思を継ぐ者よ。お前がこの世界とともに生きようとするならば、私はそれを見守ろう」

「プラチナさん…」

「だがもしも、やはりお前がこの世界は愚かで危険だと思ったのなら…私を喚ぶが良い。その時こそ、私は全身全霊を持って、この世界を白紙に還すと約束しよう」

「……」

 アイビィは、プラチナの視線に決意と慈しみの光を見る。

「だからそれまではこの勝負…預けておくぞ!」

 そう言ってプラチナは、モノクロームを一瞥して引き上げる。

 追従するように、彼女が率いた白翼たちも退いていく。

(…あいつ、この期に及んで負けを認めない気か?!)

 クロムの額でモノが茶化す。

(いやでも実際…これ以上続けられていたら俺たちの負けだよ)

 もう指一本動かす気力もないクロムは、黒装を解き、倒れ込む。

 そんなクロムのもとに、アイビィが駆け寄る。

「良かった…。もう、無茶しないでよ!」

「ごめん…」

 そう軽く答えようとしてアイビィの顔を見上げたクロムは、そこに大粒の涙を認めて慌てる。

「ホントだよ! クロムに万が一のことがあったら、私…」

「……」

 クロムは不意に思い出す。

 兄、であった自分に連れまわされては、ケガをしていた泣き虫アイビィ…

 だからアイビィを傷つけまいとして、泣かせまいとして、黒の力に呑まれた自分は距離をとり、離れたつもりだった。

 けれどアイビィをいちばん傷つけていたのは、そんな自分だったとしたら?

「ごめん…」

 だからクロムは繰り返す。同じ…だが、重い言葉を。

 その変化に気づき、アイビィは問う。

「ごめんって…なにが?」

「それは…」

 口を閉ざすクロムに、アイビィはイタズラっぽく問い詰める。

「そういえばプラチナさんと戦っているときに、こっちを向いて『俺は…!!』って言ってたよね? あの続き…聞いてみたいなぁ」

「……」

 涙を拭きながら、アイビィは笑う。

 クロムにしてみればそれは、最高にズルい笑顔だった。

「俺は…アイビィと共に、歩んで生きたいんだ、って…」

「兄として?」

 アイビィは、みなまで言わなくても…を許さない。

「…パートナーとして」

 クロムは真っ赤になってそう答える。

「ふーん…」

 そんなクロムの瞳を、アイビィは満足そうに見つめ返す。

「私もっ!!」

 そして満面の笑みで、抱きついた。

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